患者様の血液を利用した再生医療
変形性膝関節症は、膝のクッションとして働いている軟骨が加齢にともないすり減り、炎症が起きたり関節が変形したりして痛みや腫れを生じる病気です。
外傷や感染等明らかな原因があって発症する場合もありますが、多くは加齢を主な原因として、肥満や使いすぎ、遺伝的な背景等複数の原因が積み重なって発症します。
病気の進行とともに軟骨がすり減り、関節の組織全体が変性していきます。
通常、手術をしない治療は関節を支える筋肉を鍛える運動療法と肥満の改善が中心ですが、
痛みを伴う場合には痛み止め薬の処方やステロイド注射による関節炎のコントロールやヒアルロン酸注射による膝のクッション性の補填による痛みの一時的な緩和を行います。
軟骨のすり減りが進み、症状が重い場合には関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工関節置換術(悪くなった軟骨と骨を削り、チタンやスチール製の関節に交換する)などが行われます。
なかなか改善しないひざの痛みで日常活動が制限されると、筋力が衰え、病気の進行は早まってしまいます。
症状が進行し、関節の機能が失われると、手術以外では症状を抑えることが難しくなってしまいます。
PRP(多血小板血漿)療法は患者様の血液を利用した再生医療です。
なかなか改善しない膝の痛みのある患者様の関節の炎症を鎮め、痛みや腫れを抑え、関節破壊の進行をくい止めることが期待されています。
患者様の血液には成長因子等の良いタンパク質、炎症や軟骨破壊を促進する悪いタンパク質が一緒に含まれています。
PRP療法では、成長因子を多く含む血小板と細胞の栄養素等を含む血漿を悪いタンパク質※1を含む赤血球から分離することで血液のもつ治癒作用を高めて治療に利用されます。
※1 マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、IL-8等を指します。MIF、IL-8は血液中で赤血球に高濃度に含まれており、赤血球から遊離すると強い炎症反応を引き起こします。
ACP※1とはPRPの一種で、炎症抑制作用の邪魔になる赤血球と一部の白血球※2を約99%分離し、炎症抑制と軟骨保護作用を高めた黄色い液体です。赤血球と白血球がほとんど含まれないため、“Pure-PRP”とも言われます。
血液中の良いタンパク質をバランスよく濃縮し、注入することで、関節内の細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み(NF-κBシグナル伝達経路)を抑制し、炎症を改善、痛みの緩和、軟骨破壊抑止を行うことが期待されています。
ACP PRP療法は欧州で既に治療法として承認されています。
また、欧米では既に複数の機関で客観性の高い臨床試験が行われ、その結果が国際的に権威のある学術雑誌に報告され、有効性の確認が進んでいます。
※1 ACPはAutologous Conditioned Plasmaの略称で、日本語で自家調整血漿といいます。
※2 好中球を指します。細菌感染に対する生体防御機能を持ちますが、炎症や軟骨破壊を引き起こし組織を障害します。通常はこうした作用は生体内では制御されていますが、慢性炎症性疾患では過剰な働きを示すことが知られています。
治療は3つのステップで行われ、採血から治療提供までわずか15分程度※でおこなわれます。
少量(15ml)の採血で治療を受けることができる負担の少ない治療です。
※主治医の判断による
STEP1 患者様の腕から少量採血(15ml)します
STEP2 血液を遠心分離し、赤血球と白血球からPRPを分離、抽出します
STEP3 PRPを幹部に注射します
細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み( NF-κBシグナル伝達経路)を抑制し、効果を発揮すると考えられています。
変形性膝関節症では病的な炎症を引き起こす仕組みが活性化しており、炎症と軟骨破壊のサイクルが起きています。
炎症成分の刺激により、細胞が軟骨破壊や炎症を増強します。
過剰な炎症が続くと細胞死も増加します。
炎症成分(IL-1,TNFαなど)により、NF-κBシグナル伝達経路が活性化すると軟骨破壊成分(MMP)や炎症成分が作られます。
ACP PRPは細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み(NF-κBシグナル伝達経路)を抑制することにより、炎症を改善、痛みを緩和し、軟骨の保護を行うものと考えられています。
良いタンパク質(成長因子等)により、細胞の活動が正常化されると、炎症は治まり、関節の痛みの原因となる物質も作られにくくなります。また、正常化した細胞は軟骨の保護に働きます。
良いタンパク質(成長因子等)により、NF-κBシグナル伝達経路が抑制され、炎症成分(IL-1,TNFα)、軟骨破壊成分(MMP)の過剰生産が治まります。
注射の価格 | 1回 55,000円(税込) |
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